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少しずつ気温と湿度が上がり、ジメジメした日が増えてきました。この時期になると、皮膚科では「かゆみ」「湿疹」「水虫」など、カビが関係する皮膚トラブルのご相談が増えてきます。
実はカビは、水虫だけでなく、さまざまな皮膚症状やアレルギーに関係しています。さらに、皮膚に付着して起こるものだけでなく、空気中のカビを吸い込むことで症状が出ることもあります。
カビによって起こる病気は、大きく次の2つに分類されます。
さらに、それぞれの病気は、原因となるカビとの「触れ方」によっても次のように分けられます。
身近な場所に存在するカビが、思いがけない症状の原因になっていることがあります。
カビにはさまざまな種類があり、それぞれ好む環境や、関係する病気が異なります。代表的なものを下表にまとめました。
| カビの種類 | 特徴・関係する場所 |
|---|---|
| 白癬菌(はくせんきん) | 足の指の間や靴の中など、高温多湿の環境を好みます。水虫の原因となります。 |
| カンジダ | 脇や股、おむつの中など、蒸れやすい部分で増えやすいカビです。 |
| マラセチア | 頭皮や顔、胸など皮脂の多い場所に存在します。脂漏性皮膚炎や癜風と関係します。 |
| アスペルギルス | エアコン内部、浴室、ほこりなどに存在し、アレルギーや肺感染症の原因になることがあります。 |
| アルテルナリア | 枯れ葉や土など屋外環境に多く、喘息やアトピー性皮膚炎の悪化に関与することがあります。 |
| クラドスポリウム | 結露の多い場所やカーテンなど、湿気の多い室内に存在し、アレルギーに関係します。 |
| ペニシリウム | 古い食品や湿った壁、収納スペースなどに発生し、室内アレルギーの原因になることがあります。 |
このように、カビは身近な環境のさまざまな場所に存在しており、湿気が多い季節には特に注意が必要です。
もっともよく知られたカビの感染症です。「水虫」という言葉には少し嫌なイメージがあるかもしれません。
昔は田植えの時期になると足の指の間がふやけてかゆくなることから、「水のなかにいる虫に食われたような病気」と考えられ、「水虫」という名前が広まったとされています。
実際には“虫”が原因ではなく、白癬菌というカビ(真菌)が原因です。
皮膚科の診察中に医師が顕微鏡をのぞいていることがありますが、これはカビ(真菌)の有無を確認していることが多いです。
現在では治療薬の選択肢も広がっており、正しく診断できれば適切な治療が可能です。
また、爪に白癬菌が入ると、白く濁ったり分厚くなったりします。かつては「一度かかると治らない」と言われていましたが、現在は飲み薬や塗り薬で治療できるようになっています。
蒸れやすい部分によくみられる、カビによる感染症です。
カンジダはもともと皮膚にいる常在菌ですが、増えすぎると炎症を起こします。
赤ちゃんのおむつの中や、生理用品が当たる部分にできやすいですが、口まわりや耳の後ろなど、蒸れやすい場所ならどこでも起こることがあります。
治療は白癬と同じく、抗真菌薬を用います。
あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、皮膚科では比較的よくみられる疾患です。
マラセチアというカビが原因で起こります。
これも皮膚常在菌のひとつですが、カンジダとは異なり、皮脂の多い場所で増えやすいという特徴があります。
体に白い斑点や茶色い斑点ができますが、かゆみが少ないため気づきにくいことがあります。
また、ニキビに似た症状を呈する「マラセチア毛包炎」も、同じくマラセチアが原因で起こります。
こちらは主に呼吸器内科で扱う疾患です。
咳、発熱、血痰などの症状がみられます。
体力や免疫力が低下している方で起こりやすいため、次のような予防が大切になります。
カビに直接触れることで起こる「かぶれ」です。
カビ掃除のあとなどに起こることがあるため、掃除の際は手袋を使用しましょう。
赤ちゃんから高齢の方までみられる、頭皮や顔など皮脂の多い部分に起こる湿疹です。
赤みやフケ、かゆみを繰り返すことがあります。
この疾患には「マラセチア」というカビが関係していると考えられています。
マラセチアとの関連はわかっていますが、純粋なアレルギーかどうかは、まだはっきりしていません。
皮脂や湿気が多い環境で悪化しやすく、梅雨〜夏に症状が強くなる方も少なくありません。
治療では、ステロイド外用薬や抗真菌薬などを使用します。
アトピー性皮膚炎は夏の暑い時期に悪化しやすいですが、その原因はさまざまです。
汗や湿気そのものでも悪化しますし、日光や日焼け止めもかぶれの原因になります。また夏場に増えやすい花粉も悪化要因のひとつですが、意外と見落としがちなのが、マラセチアやカンジダなどのカビが悪化因子となるケースです。
汗や皮脂の多い部分で悪化しやすいため、スキンケアや汗の管理が大切です。
アトピー性皮膚炎がなかなか改善しない場合には、必要に応じてアレルギー検査でカビアレルギーを調べることがあります。
アトピー性皮膚炎の悪化、顔や首のかゆみ、鼻炎、咳、喘息などの症状がみられます。
アレルギー検査を行うこともあり、治療では抗アレルギー薬や吸入治療などを使用します。
また、症状を起こしにくくするために、以下のような環境整備も大切です。
カビは、水虫だけでなく、湿疹やアレルギーなど、さまざまな皮膚症状に関係しています。
特に梅雨〜夏の湿気が多い時期は、症状が悪化しやすくなります。
「なかなか治らないかゆみ」や「繰り返す湿疹」の背景に、カビが関係していることもあります。
気になる症状がある場合は、自己判断で市販薬を続けるのではなく、お早めに皮膚科へご相談ください。